2008年9月23日火曜日

また、空を飛びたくなる日。

また、空を飛びたくなる日。

空の漆黒
白の中央線
坂道の先には青信号で
アクセル蹴り込んで空を飛べるはずだって。
太陽が月で中和された瞬間
彼は唆すんだ。

彼が恋に落ちたのは夕日と街灯
オレンジは心音に似ているんだって
「ごめんね」 受話器を置く姿が跪く少年の頭を打ち抜く軍人に見えたよ

「夜を待って、逃げ出そうよ」裾を摘む手は震えかけている。

円周率も知らない彼は
愛とは
正義とは
毎日考え続けているんだ
そのくせ夢には無防備で
命の目的なんか気づきもしないんだ。

僕も分からないけれど。

ブラウン管は現実に化粧を施してくれる。
すっぴんは飲み込むのに厳しすぎるから
だからグロスでベットベトにして、
甘いチョコにして頂くものさ

彼はいつもパソコンと向き合って
でも保存の仕方を知らないんだ
言葉をつなげては満足げ
電源を落として悲しくなる

「大切な瞬間に人は無力だ」
フランス映画から拾ってきた台詞を繰り返す

こんな道知らないのになぜ懐かしいと思うのだろう。
それは誰かの価値観を植え付けられて
統一された常識を持っているから。

誰もわかっちゃくれない
誰もわかっちゃくれない

そして彼はまた
まぶたの裏側に隠れるんだ。